「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン」
パンクと言うジャンルは「反逆の姿勢」であり「反骨のメッセージ」を世間へ蒔き散らす、と言った側面も重要な「パンクとしてのファクター」だと思っている。演奏が「何かパンクっぽいけど中身がスカスカ」なバンドが如何に多いことか。。
「レイジ」とは「怒り」の意味であり、機械のように冷徹である社会のシステム、機構をマシンに例えてそれらに対する怒りの怒号である。。
90年代後半「最も精神性がパンク」であったバンドはきっと彼らだと思う。(ニルバーナもある意味反骨であるが「自己の内面」に向かい過ぎている)
1stの衝撃的なジャケ、「ベトナム戦争反対デモで焼身自殺をして訴えている僧侶の写真」からも彼らの「本物の怒り」が感じられる。
レイジの音楽は音的には「ラップとヘヴィ・ギターの融合」だと思われるが、そんな一言では語れない世界、個性を有している。
Gtr,のトム・モレロのギター奏法は普通の人らとは違い、「六角レンチとかで弦を擦って音を出したりする」、いわゆる「革新的、独創的」を通り越して「あまり真似する人の少なそうな領域」の奏法なのだが、それらを全く感じさせない「奇怪なフレーズ(リフ)の嵐」は凄まじい。
「普通にGtr,奏者が考えつく領域」を超えた世界が垣間見える。。
「ラップでありファンクであり、HRであり、メタルでもある」要はゴッタ煮状態で「ほとんど前後の音の関連性」が感じられないような「パーツとして繋いだリフの集合体」のような曲にVo,ザックによる強烈な社会批判メッセージがラップにより弾丸のように弾き出される。
彼らの登場しばらくして、フォロワー(粗悪なコピー・バンド)が多く生まれたが、やはりオリジナルには「オリジナルにしか持ち得ない領域」があるようで、音や上っ面を真似てもやはり中身が無いと「スカスカ」である。
本作、「イーヴィル・エンパイア」と銘打たれた2ndフルアルバムであるが、
「イーヴィル・エンパイア(邪悪な帝国)」=「アメリカ」として痛烈なメッセージが盛り込まれている。(ジャケのイラストからも感じ取れるはず)
皮肉なことに本作は「アメリカ」で爆発的ヒットになり、彼らを一躍スターダムにのし上げた、
「アメリカを批判した作品がアメリカにより歓迎された」のである。。なんだかなぁ・・
結果的にバンド最大のアルバムセールスの面から見ても「凄まじいアルバム」である由縁に、「難解そうな世界」である彼らの音楽であるが「聞きやすさ」が念頭に置いてある、#4など「普通に格好いい」曲も多いので一度試しに「本気のパンク」聴いてみてはいかが?